京都の伝統文化の象徴である舞妓。
しかし、華やかさの裏には深刻な人権侵害の実態が隠されていました。
元舞妓の桐貴清羽(きりたかきよは)さんが告発した内容は、深夜労働、月2日の休み、月5万円の給与、未成年での接待や飲酒、そして「お風呂入り」と呼ばれる性接待疑惑など、衝撃的なものばかりです。
当記事では、その実態や法的問題点などについて深掘りします。
舞妓は“労働者”か?
1954年、国は全国の芸妓を労働基準法の適用対象としました。
さらに1958年には京都労働基準局が、市内の置屋やお茶屋など539事業所を対象として調査を実施。
これにより、舞妓も労働者として法的に認定される存在であることが明確になっています。
しかし、桐貴さんの証言によると、置屋との契約書は交わされておらず、口頭での取り決めのみ。
これは労働基準法第15条が定める「労働条件明示義務」に違反しており、置屋には30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。


未成年と酒席の接待&お風呂入り
桐貴さんは、舞妓時代に深夜まで働かされ、月の休みはわずか2回。
給与は「お小遣い」として月5万円しか受け取っていなかったと証言しています。
これは最低賃金法および労働基準法に明らかに違反しています。
さらに、未成年にもかかわらず、酒席での接待を強いられ、飲酒を伴う場面もあったとのこと。
労働基準法第62条では、18歳未満の者に対して「安全・健康・道徳を害する恐れのある業務」を禁止しており、これは典型的な違法行為です。
「お風呂入り」と呼ばれる客との入浴行為も問題です。
16歳未満の少女に対する性的行為は、同意があっても刑法上の不同意性交・わいせつ罪に該当します。
置屋がこの事実を知っていれば、「幇助犯」として責任を問われる可能性も否定できません。
置屋の責任と罰則
未成年者飲酒禁止法では、20歳未満の未成年が飲酒した際、親権者または監督者が制止しなかった場合に処罰されることがあります。
舞妓の保護・管理を行う置屋の女将は監督者としての責任を負っており、違法行為に対する罰則の対象となる可能性があります。
また、労働契約の不備や過酷な労働環境、性接待の黙認などがあれば、重大な労働法違反とみなされます。
人権侵害と「現代の奴隷」問題
桐貴さんは、自らの境遇を「現代の奴隷」と表現しました。
中学卒業後、契約書なしに置屋に入り、携帯電話の所持を禁止され、外部との連絡を断たれたまま生活。
自身の権利を理解することもなく、過酷な環境で働かされていたのです。
こうした状況は、形式上は自由であっても、実質的には「拘束」されているといえます。
労働者としての権利や人権教育を一切受けずに働かされる未成年の存在は、深刻な社会問題です。
ネット上での反応と声
ネット上では、
・「伝統を盾にして違法行為を正当化するな」
・「舞妓制度は今すぐ見直すべき」
といった声が相次いでいます。
一方で、
・「全ての置屋がそうではない」
・「舞妓制度を一括りに否定すべきではない」
という意見も存在します。
しかし、文化を守ることと人権を守ることは両立すべきであり、見て見ぬふりは許されない時代になっています。


まとめ
今回の桐貴さんの告発は、舞妓制度の在り方そのものに警鐘を鳴らすものでした。
伝統文化の継承と尊重は重要ですが、それ以上に、そこに従事する人々の人権と労働環境の保障が不可欠です。
京都市や労働基準監督署は、積極的な調査と改善指導を行い、相談窓口の設置など具体的な対策を取る必要があります。
私たち1人1人がこの問題に関心を持ち、声を上げていくことが、未来の舞妓たちの人権を守る第一歩になるのです。
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